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旅行期間:8/23/2005-9/2/2005(11日間)
移動手段:鈍行列車(JR)+長距離バス





8/29(六日目):
十和田湖 (秋田・青森)奥入瀬渓流 (青森)青森 (青森)

(赤字は観光した場所。それ以外は乗り換え地点。)

奥入瀬渓流。この渓流の地名をこれまでどれだけ思い出してきただろうか。それほど、行きたい場所ナンバー1だった。その奥入瀬渓流散策という夢がこの日叶う。


昨日、いつの間にか寝てしまい、多分10時ぐらいには夢の中だったんだろう。そのため、今朝は5時ぐらいに目が覚めた。朝日が厚いカーテンの隙間から部屋に入り込んでいる。彼女は隣のベッドで眠っている。起こさないように、そうっとカーテンをひらいた。暗かったホテルの一室が、まぶしい朝日に照らされて、その日の始まりを示す。ホテルの隣の芝生の広場には、老夫婦が手をつないで散歩をしている。窓を開けてみると、小鳥のさえずりが聞こえてくる。どこから聞こえてくるのだろうか。顔を出して上を見てみると、鳥の巣がびっしりと作られている。すごい光景だ。そこから、鳥たちが飛んでいったり、彼らの巣に帰ったりと、せわしく動いている。湖は光を反射してきらきらと輝いている。どことなく懐かしい気持ちにもなるが、初めて来たんだと思いなおすと、なおさら変な気分になってくる。


あまりのまぶしさに彼女が目を覚ました。6時過ぎごろだったろうか。実は今日も早い。朝ごはんを食べて、ホテルをチェックアウトし、荷物を持ってバスターミナルに行く。その荷物を預けて、9時のバスに乗り、奥入瀬渓流の下流のほうまで行く。そこから奥入瀬渓流の散策がはじまり、上流へ歩く。つまり十和田湖にもう一度戻ってくる予定だ。そのためには、この時間帯に起きて準備するのが一番だろう。


準備を整え、荷物を持って部屋を出る。こんないいホテルに一泊しか出来ないことがとても残念に思える。東北を10日間で一周しようという無茶な計画で一日一日が本当に忙しい。またいつかゆっくりと来たい。ホテルの長い廊下を歩き、エレベーターで1階まで降りる。まずはチェックアウトをするためにフロントによる。同世代ぐらいの若いおねえさんが、相手をしてくれたが、自分たちはこうして気楽に旅をしているのに、その子は朝早くから客の対応で忙しく働いていると思うと、やるせない。と、おもったところでどうしようもないことだ。チェックアウトを済ませ、昨日夕飯を食べたレストランへ入る。朝食はバイキング形式になっている。これは特別な朝食でもなく、どこいってもありそうなありきたりなメニューとなっていた。それでも、景色はいいので、その分、気分は上昇だ。


さぁ、腹ごしらえも終わり、ボストンバッグを担ぎ、ホテルをでる。まずは、秋田県と青森県を分けている小川を渡り、湖畔沿いに歩く。昨日は何度も通った道だ。そして、バスターミナルへ行き、荷物を預ける。バスは9時出発。石ヶ戸までバスで行く。40分ほどの道のりだ。まずバスは十和田湖沿いに走り、奥入瀬渓流の出発点となる子の口で止まる。そして、今度は奥入瀬渓流沿いにバスは走る。車内では、それぞれの見所を案内するテープが流れ、その度にバスは減速する。この日、一番気分を落とさせるのはこのとき降り出した雨だ。土砂降りではないのでいいが、それでもかさやレインコートを必要とするぐらい降っていて、一眼レフを持ち歩こうとしている僕にとっては嫌な天気になってしまった。石ヶ戸でバスをおりた。そこの売店でレインコートを購入した。早速それをまとい、奥入瀬渓流の散策を始める。時は9時45分。




道のりは、石ヶ戸から子の口までの約9km。渓流沿いに作られたトレッキング用の道を歩いていく。その間には、いくつもの滝や美しい渓流地点があり、9kmという距離はあっという間に過ぎてしまう、ということに後で気づくことになる。無我夢中に歩いてしまう。無我夢中に写真を撮り、無心になってその自然美を見つめる。綺麗過ぎるのだ。一眼レフカメラで写真を撮り、デジタルカメラで写真を撮り、携帯電話で写真を撮る。途中、雨は止み、青空が見上げた木々の間から覗くようになった。そして、その太陽の光はぬれた苔や石、葉っぱを照らし、ものすごいさわやかな情景になる。この奥入瀬渓流の水位は通年ほとんど変わることがなく、石や倒れた樹の上にはかならず苔が生えている。もし水が増えたり減ったりするのであれば、苔は生えない。




結局、歩いて歩いて、3時間半ほどで子の口に到着した。予定より2時間ほど早かったので、ぺこぺこになったおなかを満たすためにお土産やの2階の食堂に入った。この十和田湖は水が綺麗過ぎて魚がいない。正確にはいなかった。そこから放流の試行錯誤が続き、ついにヒメマスの繁殖に成功した。そのヒメマスがこの十和田湖で一つの食になっている。それを食べたかった。時期により値が激しく変動するらしい。このときは一匹800円とのことだった。ちょっと高いなと思ったが、食はケチらないというモットーの上、山菜ピラフやうどんと一緒にヒメマスの塩焼きを注文した。十和田湖を眺める景色のいい窓際のお座敷で、食事をした。ほんと時間がのんびり流れている。


しかし、実際は時は着々と一秒一秒を刻んでいるのである。いつの間にか2時近くなっている。急がねば。この子の口から今度は遊覧船で休屋へ戻るのだ。そして3時の青森行きのバスに乗らなくてはいけない。食堂の道を挟んで向かいにある切符売り場でチケットを買う。50分のコースだ。休屋には2時50分の予定で、10分で荷物を受け取って、青森行きのバスに乗る。遊覧船は、十和田湖畔沿いに走り、その美しさを伝えていく。特に中湖とよばれる、第二の爆発でできた陸地沿いはなかなか見ることが出来ず、この遊覧船ならではの景色を拝めることが出来る。と、おもっていても、奥入瀬渓流のトレッキングの疲れがピークなのと、おなかを満たした満足感とで眠気がどっと襲い、結局終始爆睡だった。


この眠気がこの後の災難をもたらすことになるとは、夢にも思わなかった。


2時50分に休屋につく。遊覧船停泊場所は、バスターミナルから一直線の場所にあり、お互いがお互いの場所を確認することが出来る。迷うこともない。10分で荷物を受け取り、バスのチケットを買い、バスに乗る。彼女は、昨日から常々言っていたが、野いちごソフトクリームが食べたいと、今日もずっと言っていた。しかたないので、彼女はソフトクリームを買いに行かせ、僕は、チケットと荷物を引き受けた。僕は一直線にバスターミナルに行き、青森行きのバスチケットを購入し、預けていたボストンバッグを彼女の分も一緒に受け取る。そして、3時出発のバスに乗り込んで、場所を確保した。出発まであと数分が残っている。なんとか、間に合ったか。そう気を緩めて彼女を待っていたが、その彼女がバスに来ない。ちゃんとバスターミナルでバスに乗るって言ってあったのに、こない。だんだんと時間が迫り、僕はいてもたってもいられなくなり、バスを降り、運転手さんに少し待ってもらえるように頼み、彼女を探しにいった。まずは、その野いちごソフトクリームを売っていた店に行ってみたが、彼女の姿はいない。店内ぐるっと回っても、彼女の姿が見えない。自分が思っている彼女の姿はなんなんだろう?とわけわかんなくなり、これまで見ていた彼女の姿、髪型、服装がすべて違う世界のものなのだったのかと、なかば混乱状態になる。それでも、やっぱり彼女の姿はない。どこへいったんだ。時刻は3時を過ぎている。


バスに戻って、同乗するはずの彼女が迷子になっていると運転手に告げ、その事情を説明し、待ってもらうことにした。僕はもう一度ソフトクリームの店に行って、店員さんに、ソフトクリームを買った女の子がいなかったかと聞いた。店員さんは、「確かにいたが、結構前のことだよ」と教えてくれた。じゃあ、どこにいったんだ?まったくその行き先が想像できない。トイレかもしれないと思ったが、ソフトクリームを買う前に行っているはずだから、それはない。バスターミナルとそのあたりを走りに走って探したけれどもいない。運転手もすごく心配して探してくれている。バスターミナルのスタッフたちもどこいったどこいったと、騒ぎはじめている。バスの乗客は冷たい目で、窓越しに冷たい視線を流す。もう一度ソフトクリームの店に行ってごらんといわれたので、走って店にいった。それでもいない、とおもってバスターミナル方面に振り向いた時、彼女がひょっこりバスターミナル建物内からバスのほうに現れた。


あの、ばか!


急いで、バスに戻る。彼女は「なんで、電話にでんのや!」と意味の分からん言葉を発した。「ばかか!」と心の中で思うが、その言葉は出てこない。というのも、彼女は、どろどろに溶けたソフトクリームを右手に持ち、その溶けたソフトクリームは手の伝って下にぽたぽたたれているのである。これが、まさにあいた口がふさがらないというものなのか。今思い出してみても、このときの感情がないことが改めて分かる。どこいったんだと心配に心配を重ね、バスの運転手や乗客に多大の迷惑をかけてものすごく申し訳ない気持ちでいっぱいだったからこそ、見つけたら怒鳴ってしまうだろうと思っていたのだが、彼女のあまりに哀れな姿に、その言葉は胸のうちで爆発し、表はもうにたすら苦笑いというかなんというか。


散々待たせたバスは10分の遅れをだして出発した。彼女はだんだんと正気になって、冷静に何があったのか思い返していた。彼女の言葉によれば、遊覧船を降りて僕と別れた後、すぐにソフトクリームを買いにいったそうだ。そこまでは、僕の想定どおりだ。しかし、そこからが意味不明の行動だ。彼女は何を思ったか、もう一度遊覧船に乗るんだと思って、遊覧船乗り場に戻ったらしい。3時になっても僕が姿を見せないから、すでに遊覧船に乗っているのかとおもって、船内を覗いては見たが、見慣れた姿はない。そして、遊覧船ではなくバスに乗る予定だったことをうすら思い出し、溶けるソフトクリームを片手に、バスターミナルに戻ってきた。しかし、バス乗り場側に出てくればいいものを、なぜかその反対側のお土産屋の前で待っていたらしい。何かおかしいと思い、バス乗り場のほうに足を運んだところが、僕との再会ということになる。すべては彼女が寝ぼけていたからという結論に至る。しかもその行動の間、寝ボケとコンタクトレンズは乾いていてのとで視界がほとんどなかったそうだ。バスの中で、そんなばかな行動を思い出しては、笑い出す彼女が憎たらしくて、かわいい。


バスは、今日の朝走った同じ道を、今度は遅れを取り戻すようにすこし急ぎながら走る。朝は石ヶ戸でおりたが、今回はそのまま乗り続け、十和田湖を囲む山々を登っていく。一つ一つ温泉地を通っていき、八甲田山を上り、ロープウェイ乗り場により、また展望地をすこしスピードを緩めて走る。彼女は相変わらず寝ている。どこにそんな睡眠欲があるのだろうか。そんな彼女を見ていると自分も眠たくなってくる。ふとふと眠っているとき、体がバスがスピードを緩めるのを感知し、目を覚まさせる。ふと窓の外を見ると、すばらしい景色だった。森が波のように動いているようだ。ここはどこなんだろうと、流れているテープに耳をやるが、寝起きでぼんやりする頭にははきはきしゃべるテープの音声でも聞き取るには難しい。見下ろすその森がうねりを作る。そのうねりはまるで動いているように見え、「自然の雄大」さというのを肌で感じた。あとで、その森が世界遺産にもなっているブナの原生林である白神山地と東北の富士山と呼ばれる岩木山であることが判明する。


この白神山地をみたときから、この東北旅行が自分の人生において何を意味するのかを考えるようになる。そのとき呼んでいた「海辺のカフカ」のテーマでもある、生きるということ、人生の意味、運命というものと重ねて自分のこの旅行を一緒に考える。また、大学を卒業し、就職も決まり、これからの半年のアルバイト生活は自分の人生に何を意味するのか。就職活動をしているときは、この半年でたくさん実社会を勉強して、ビジネスを勉強して、入社する予定の会社について書かれた書物を読んで会社についての知識をたくさん得るよう努力しなきゃいけないんだとずっと思ってきた。しかし、それが自分に何の利益をもたらすのだろう?こうして旅行をしてさまざまな土地の土を踏み、移り変わる景色に感動し、行く先々で人々と接して、自分はどう変化するのだろう?今自分が求めていることは何だろう?今自分がしなきゃいけないことは何だろう?その答えを探るために思考が止まらなくなる。そして、頭が煮えに煮えて疲れて、また深い眠りに入っていく。


気がつくと、バスは市街地を走っていた。青森市だ。バスは6時ちょうどに青森駅に到着した。今夜泊まるホテルは、駅から歩いて10分ほどの場所にある。繁華街の一角で、青森ベイブリッジや青森観光センターのアスパムにも近い。その位置を駅の地図で確認して、ボストンバッグを担いで歩き出した。ホテルはすぐに見つかった。大きくその看板を出していたし、その周辺には同レベルのシティホテルが立ち並んでいるから、見落とすことはない。すぐにチェックインをして、部屋でくつろぐ。幸いにもこのホテルにはコインランドリーがある。旅行のなかで地理的には青森は引き返し地点となる。明日は日本海側を下ることになる。その中間地点で洗濯を済ませておきたい。持ってきている衣服にも限界がある。


そんなことより食事だ。時間は夕飯時刻なのだ。ホテルを予約する際に、ネットが使える部屋を指定しておいた。なので、パソコンを取り出して、ネットで青森市内のレストランなど調べ始めた。ぐるなびなどいろいろ調べたが、どうもあるいて行くには遠い場所ばかりだ。それに、青森名物というのはなかなかない。彼女に何が食べたいか相談してみると、てんぷらが食べたいといったので、その筋を検索してみたが、これもどうもいい店がヒットしない。こうなれば、ふろんとに人に聞いてみようということになり、部屋を出て、フロントへ行った。そこで、聞いてみると、歩いて5分ぐらいのところにおいしいてんぷらのお店があるという。地図にその場所を記してもらい、ホテルをでて、その店へ向かって歩き出す。青森の町はどこか落ち着いている。ねぶたから連想される熱い熱気はなく、町全体の空気が静かだった。


迷うことなくそのてんぷらのお店へつくことが出来た。店は半分暗い。それでもちゃんとやっているらしい。店構えはしっかりしているが、真新しく、すごく綺麗な印象だ。中に入ると、なんとご主人は寝ていた。「すみませーん」と声をかけると、主人は慌てて起き、奥からは奥さんと見られる女性が顔を出した。どうやら、夫婦でお店を出したばかりのようだ。月曜日の夜ということもあり、お客はいない。そのため、お座敷の明かりはつけていない。カウンターにすわり、とりあえず、彼女は天丼、僕はてんぷらのセットを頼んだ。カウンターのため主人の働き振りがよく見える。別に監視しているわけではないが、ついつい見てしまう。一つ一つのてんぷらを丹念に作っていく。彼女の天丼が出てきた。ボリュームたっぷりだ。僕のてんぷらはフランス料理で言うフルコースの前菜からメインディッシュへ運ばれて行くかのように、すごく絶妙なタイミングで次から次へと出てくる。しかも、目の前で揚げたものがそのまま僕の前に置かれるので、まさに出来立てだ。しかも、おいしい。ご飯を次から次へとおかわり。3杯ぐらいたべて、奥さんも半ば笑いながらゴハンを盛る。言葉は少なく、店内も静かだが、居心地がいい。今夜の夕飯はとても満足できるものになった。


帰り、ホテルにそのままもどらず、青森市内とすこし歩いてみることになった。駅前の通りをずっと歩いていく。そこで、あることに気がついた。青森の女の子はすごく綺麗だということだ。顔だけの話ではない。スタイルがいい。彼女も同じことを思っていたようで、二人でこの発見に熱くなる。見る人見る人がすらっと綺麗だ。青森も捨てたもんじゃない。


ホテルに戻ったのは10時近くなっていた。すぐに洗濯を始める。自動販売機で50円の粉洗剤を買い、洗濯機を回す。部屋に戻って、テレビを見たり、ごろごろしながら時間をつぶす。


どうも、諦め切れないものがある。


青森ラーメンだ。実は青森駅について、ホテルに来る途中、ホテルのすぐそばに青森ラーメンを見つけてしまったのだ。ご当地ラーメンを目にして、諦めるわけにはいかない。喜多方と同じようなことにはなりたくない。彼女に、その熱い思いを説明し、洗濯物を乾燥機に移してから、行ってもよいことになった。てんぷら屋であれだけ腹いっぱいにしておきながら、どこにそんなスペースがあるのだろうか、そう不思議で仕方がないのだろう。彼女はおなかいっぱいなので、僕一人で行く。


青森ラーメンは、塩ベースのスープにおっきなホタテがごろごろ入っていて、わかめがたっぷりと乗せてある。それなら、塩ラーメンにホタテとわかめを乗せてるだけのことか、と思われそうだが、どうもスープが違う。ホタテの味がスープに染み渡っているのだ。どうやら、このラーメンのスープを用意する際に、ホタテを一緒に入れて熱し、スープにホタテのエキスをしみさせているんだと思う。それが、また絶妙に北の香りを醸し出す。うまかった。主人は一見がんこそうなこわもてのオヤジだったが、仕事に忠実で、帰る際、ごちそうさまといったら、にこっと笑ってくれた。やっぱ気分がいいな、こういうのは。


さぁ、今日はいろんなことがあったように思える。十和田湖から奥入瀬渓流、八甲田山、青森市内、いろいろ場所を移して、いろんなことが起きた。旅は折り返し地点。次は何が待っているのだろうか。



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