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旅行期間:8/23/2005-9/2/2005(11日間)
移動手段:鈍行列車(JR)+長距離バス





9/1(九日目):
新潟 (新潟)→長岡(新潟)→直江津(新潟)→富山(富山)→金沢(石川)→敦賀(福井)→彼女の実家(京都)

(赤字は観光した場所。それ以外は乗り換え地点。)

新潟市にいる。昨夜、辺りが暗くて、駅の新潟という文字がライトアップされている時刻に新潟に着いた。今朝、起きて外を覗く。ビルが立ち並ぶが、遠くに日本海が広がり、港があるのだろうか。地が伸びる気配がない。空は、さわやかな青空とはいえない。すこし雲が薄くかかるような、微妙な色合いをしている。歯がゆい朝の空色だ。


朝、早速お風呂に入りに行く。このホテルには各部屋にお風呂の設備はなく、共同の浴場が4階と10階にある。この二つの大浴場は時間によって男・女がいれかわる。昨日のうちに入れば、男は4階の浴場、女は10階の浴場であったが、早朝の6時は男が10階、女が4階の浴場を使うことになっていた。この差は大きい。というのも、10階の浴場は、露天風呂や岩風呂などがあり、雰囲気がいいのだ。彼女には申し訳ないが、朝はこの露天風呂でくつろげそうだ。エレベータで上階に移動し、風呂場へ行く。脱衣所には10人ほどの人がいた。朝から賑わっているようだ。どうも、このホテルには長期滞在の人が多い気がする。長期滞在のビジネスマンや予備校に通う学生などの人に対応できるようなプランが用意されている。もともと寮か何かの建物だったのであろう。それをホテル会社が買い取って、ホテル用に改装でもしたのではないか。


風呂場は、なかなか趣があるつくりになっていた。洗い場は木材で仕切られており、岩風呂などいろいろなタイプの風呂がある。眺めはもちろんいい。露天風呂は、さすがに安全性を踏まえ、完全に囲まれているが、外の空気を吸いながらの風呂はまた違う味がする。体を洗っているとき、ふと肩から背中にかけて刺青をほっている人を見かけた。ちょっと怖い。それでも、のんびりとくつろぐことが出来た。


部屋に戻り、出発の準備をする。彼女の化粧の時間にも慣れた。今朝は8時41分に新潟駅発の長岡行きの普通列車に乗り込む予定だ。8時前にホテルをチェックアウトし、すこし重たくなったボストンバックを担いで駅まで歩く。昨日通ったあの繁華街は、朝になると通勤中のビジネスマンや学校へ向かう学生の格好の通り道となっている。昨夜の余韻はなく、多くの店がシャッターをしっかりと閉じて、違う顔を見せている。その流れの一部と化し、新潟駅に流れ着いた。20分ほど時間がある。僕は地下にある本屋さんへ向かった。彼女は少し見て周りたいと、駅の入り口で別れた。僕は、今日読む本を探しにいく。探しに行くというのはある意味、間違っているのかもしれない。昨日、夏の庭を読み終えたのだが、夏の庭を読み始める前に、すでに次に読む本を決めていたのだ。僕は、これとこれとこれをこの期間に読みたいというような考え方をしない。ある作品を読んでいて、ふと、次はあの作品が読みたいなぁと感じるのだ。今回購入したのは、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」だ。HPの日記のタイトルとして「Ke-jiが行く!」とすこし真似て使っているのだが、実は「竜馬がゆく」を読んだことがなかった。「坂の上の雲」を読み終えて、司馬遼太郎の深い作品を読み終えた達成感から、すこし遠ざかっていた司馬遼太郎作品だが、村上春樹や桐野夏生など読んで、再び戻りたくなった。全8巻と長いが、この意気込みなら読める。


文庫本を手に、地下の本屋をでて、再び一回に戻る。彼女と落ち合い、8時41分の普通列車に乗り込んだ。早速、ほんを読み始める。通常読み始めの数ページは、どんな作品なんだろうと少々緊張するが、「竜馬がゆく」も慣れるまで数ページかかった。が、すぐにそのストーリーにのめりこんでいく。「坂の上の雲」と違って、軽快なストーリー運びにすこし気楽に構えている自分がいる。楽しんで読めそうだ。


10時少し前、9時54分に長岡市に着いた。30分後に直江津行きの普通列車に乗り換える。30分とは長くもなく、短くもなく、中途半端な行動しかできない時間だ。今日は一日中電車に乗っている日だ。すこしでも駅の外に出て行こうということで、一度改札を通り、駅舎の外へ出る。長岡市。花火作りで有名なのだろうか、駅広場には三尺玉や二尺玉のモニュメントがある。駅の建物は全体的に茶色をしており、落ち着いた雰囲気がある。もっと歩いて周りたいという衝動を抑えながら、駅のホームへと戻っていく。10時18分、直江津行きの列車に乗り込む。


内陸部を走っていた信越本線も、柏崎から日本海沿いに線路をまっすぐ西に伸ばす。本をにらみつけていた目をふと窓の外へ向ける。その風景に違和感があるのだ。列車は橋を渡っている。下には川が流れている。その川をまっすぐたどるとぐんぐんとのぼる太陽がある。やはり違和感がある。列車は西へ走っている。僕らは左側の席に腰を下ろしている。そして、今橋を渡っているのだ。その橋の下に川が流れており、川の果てには太陽。水は北へ流れている。そう、これだ。この水が北に流れるという現象がとてつもない違和感を感じさせているのだ。僕は岐阜市出身で、どちらかというと太平洋側だ。市内を流れる川はどれも南に水を押し流している。そう、水は太陽に向けて流れるものなのだ。そういう意識が脳のどこかに埋め込まれている。ふと見た、北へ流れる川の水に、とてつもない違和感を覚えたのは、このインプットされた情報が適応されないという現象に陥っているからなんだ、と考えるに至った。そして、生まれ育った環境によって、ここまで現象というものに自分なりの世界を築いているのかとびっくりもした。


11時44分、直江津市に到着した。この駅で、北陸本線に乗り換えるのだが、その列車が13時22分発なのだ。1時間半以上もある。よし、昼食だ。駅を出てみる。とてもこじんまりとしている駅は、すごく綺麗な装いだ。白を基調に、独特なフォームをかたどっている。青空と建物の白とすごくさわやかなイメージを醸し出している。その綺麗な装いとは裏腹に、駅前の道、そしてその両側を連ねる家々はどことなく年を重ねてきた街の面影を残す。駅の向かいにはホテルがある。その中の和食レストランで昼食をとることにした。僕は今日、考えていることがある。今日で、旅は終わりだ。ここから、富山、金沢、敦賀、米原、そして岐阜へと帰るのだ。しかし、彼女とは敦賀で別れる。彼女は小浜線に乗り換えて実家に帰るのだ。敦賀について、僕はそのまま電車に乗っていくのだが、彼女は寂しい敦賀の駅で1時間近く待つことになるのだ。その1時間の待ち時間一人にさせるのもかわいそうだ。そして、今年の正月に彼女の両親にお世話になったこともあり、挨拶に行きたいと思っている。一度岐阜に帰ってから彼女の実家に行くとなると、いつになるかわからない。そう考えていると、このまま、彼女と一緒に、彼女の実家に行こうかという思いがふつふつと沸いてきた。運のいいことに、明日もバイトは休みなのだ。明日岐阜に帰っても大丈夫。ただ、今日いきなり行きますと言っても、相手側に迷惑がかかると躊躇する。そのことを彼女に打ち明けてみる。彼女はもちろん喜んだ。彼女にとっても、今日敦賀で別れることが、鬱の種になったいたようだ。そして、彼女は実家に電話した。お母さんに、今日僕がうかがいたいと言っている旨を伝える。すると、快く承諾してくれた。ほんとうれしいというか、ありがたいというか、彼女のご家族には頭が上がらない思いでいっぱいになる。敦賀での別れが避けられたことによって、会話も弾み、箸も運びも軽くなる。


さぁ、最後の最後に来て、また旅程が大変更になった。今日のゴール地点は、彼女の実家だ。北陸本線、直江津駅を13時22分に出発して、15時15分に富山に着く。意外と古めかしいホームだった。北陸本線は続く。15時21分に富山を出る。金沢に16時20分についた。金沢は、かなり大きな駅だった。ここでは30分ほどの待ち時間がある。彼女ははじめ、暇をもてあそぶためにいろいろと出歩いていった。戻ってきたときに、交代で僕もぶらぶらと散歩に出かける。一緒に行かないのは、荷物を持ち歩くのが嫌なだけだ。片方が荷物を見て、片方が出歩く。僕は、北陸限定のあずきコロンを購入した。青森限定のりんごコロンとあわせて、お土産としよう。


16時55分、金沢から僕たちを乗せた電車は出発した。多くの駅をとおりすぎ、Panasonicの工場も通り過ぎ、日はどんどん傾いてゆく。残暑が厳しいと思いながらも、日照時間は着々と短くなっており、季節は確実に秋に向かっているのだ。敦賀に着いた頃にはあたりは暗くなっていた。19時9分だ。1時間後に小浜線で彼女の実家へ向かう。一度改札を出て、待合室のベンチで体を休ませる。


小浜線に乗るのは、この敦賀の学校に通っているのだろうか、学生が多い。外は真っ暗だ。20時3分に敦賀を出発した電車は暗闇の中を突っ走っていく。僕は疲れがたまっていたのか、本を読む気力は突き、眠気に襲われていた。ふと気づくと、かなりの時間が経っていた。10時前、彼女の実家からの最寄り駅に着き、降りる。彼女のお母さんが迎えに来てくれていた。約半年ぶりの再会。毎回緊張する瞬間だ。といっても、家にお邪魔している間は、常に緊張しっぱなしだが。今年は、この地で迎えた。初詣参りをし、その際に、金剛院で引いたお御籤は、大吉だった。そのときの小さな金の福神御像は常に財布の中に入れて持ち歩いている。無事卒業して、就職も第一希望に決めることが出来た。この年はこの地で始まっているのだ。だからこそ、もう一度後両親に挨拶しにいきたくて、金剛院にお参りしたかった。突然、こういう運びになってしまったのが申し訳ないが、この場で、もう一度、ありがとうございます、と伝えたい。


ひたすら、電車に揺られ続けた一日が終わる。疲れた体は、柔らかい布団の中ですぅっと眠りに引き込まれた。



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